コラム:咲 阿知賀編その2〜漫画版とアニメ版 2人の玄ちゃん〜


※使用している画像について
カラー画像は主にアニメ版「咲阿知賀編」(テレビ放送時のもの)
白黒画像は「月刊少年ガンガン」連載、五十嵐あぐり先生作画による漫画版(雑誌掲載時のもの)から引用しています。



ここを開いてくださった方には今さら言うまでもないことかとは思いますが
咲阿知賀編は、2012年4月〜7月にかけてアニメ化されました。


元々「阿知賀編」はアニメ化を前提にした企画であったようで
漫画連載が始まったばかりの第2話(2011年10月号)にして、
早くも「咲の新アニメプロジェクト」について雑誌で触れられ、
次号(同11月号)で、正式に「阿知賀編」がアニメになることが掲載されます。 


咲本編の作者である小林立先生が作ったネームをもとに
漫画版・アニメ版はそれぞれ作られています。
2話のラストで既にされる告知
思わず一言「早いよ」


しばらくは漫画が先行した分、
漫画から生まれた描写が取り入れられている箇所もあるそうですが・・・

さしずめ、漫画版は原作と言うより、コミカライズ(原作の漫画化)と
いった方がいいのでしょうね。


そんなわけで、出所(ネーム)は同じなので、基本は同じです。
しかしやはり手がける人が違うと言うことで、相応に相違が生まれます。
埼玉県代表・越谷の副将
宇津木さん痛恨の一言「ノォである〜」は
五十嵐先生が遊びで入れたら
アニメスタッフもそれを採用したのだとか


デザイン・色遣いの違いは、作家さんの個性なので当然ですが
細かい違いだと、千里山の清水谷竜華さんが
アニメ版だとニーソックスになっているっていうのもあります。

設定上の違いとしては、松実姉妹の牌の切り方
アニメ版だと、相手(対面)の方に向けて切っています。
「お嬢様切り」と言う切り方だそうです。
漫画版だと普通の切り方ですね。

※と思ってたら、漫画版12話になって
 このお嬢様切りが漫画の方にも踏襲されました。
 おろ?
 
アニメ版玄(左)と漫画版玄(右)。どちらも公式サイトより
デザインもさることながら、色遣いも濃淡の差がありますね


で、この記事は主に玄ちゃんについて取り上げていくわけですが
先に結論から言うと、私はアニメ版よりも漫画版玄ちゃんの方が好きです。
ここから先、特に「ここが」と思ったところを、またしてもダダ長く書き連ねていく内容になりますので
万が一の興味と、付き合ってやる暇があれば以下も続けてお願いします。







2012年4月、アニメスタート。第一話のタイトルは「邂逅」

阿知賀へ転校してきた和と穏乃たちの出会い
麻雀子どもクラブへの誘い
そして玄の登場・・・といきなりのセクハラ 

せっかく颯爽と登場したと言うのに・・・台無しなおもち反応
漫画にもあるけど手に動きがつくと、より怪しさが増します。そして目が輝いている

楽しい毎日
しかし別離による終わり
そしてしばしの時を経ての再会
もう一度、和に会おうという穏乃たちの決意

 
2年越しで待ち続けた玄ちゃん登場
夕日に照らされた部室の中での演出が美しかったです


大体漫画版で見たのと同じですが、やっぱり色や動きがつくとより鮮やかで生き生きとしていますね。
滑り出しは上々だったと思います。
作画のレベルも高いと思いましたし、これからどうなるんだろうと期待させてくれるいい演出でした。


・・・が、



一方その頃の、「これからこうなった」漫画版の玄ちゃん・・・



こんな状態
準決勝先鋒戦。チャンピオン・宮永照を前に
一回も和了れず、大苦戦。

前半戦はそれでも照がツモ和了りが多いことを踏まえても、
ロンで振り込みは1000点のみと
それまでよりもだいぶ手堅く打っていたのですが
照の「カン」で突如手に沸いたカンドラのおかげで
ドラを切れない玄は一気に手詰まりになり大パニック。
おまけにこの後引いた牌まで赤ドラ。逃げられない。
まさかのドラにとどめをさされて炎上。−10200。

おおぅ・・・

先月号で、焼き鳥(一回も和了れてないこと)状態ながら
照の弱点?かもしれない「打点制限」に気づいて
もう少しがんばってみるって、気合を入れなおしたところだったんですけどね。
反撃を試みる隙もなく、痛い目見てるのは玄ちゃんの方でしたとさ。

この展開でわかったのは「カンでドラになったばかりの牌が、ドラになる前から既に玄の元に集まってきている」ということで
考えようによっては、強力な武器になると思うのですが・・・
(ドラ指定でもないのに玄の手元に複数来る牌は、カンなりリーチなりで後々にドラになる可能性があり
 それを見越して手を作ることができる。しかも現行ルールでは1種類につき1枚か2枚しかない赤ドラと違って、
 通常牌なら最大で4枚あり、それだけで役を作るきっかけになる)
とりあえずそんな先のことより、今ここにある展開ではどうにもならず。


関西でのアニメ第1話放送が4月14日。これが掲載された5月号の発売日が4月12日
なもんで私はアニメ1話よりも前にこれを見ました。
どれだけ1話が期待を感じさせるものであったとしても、
行きつく先がこれなのがわかっていましたので・・・いやな予感しかしなかったです。
いや、1話はそれ自体は文句のつけようもなく良かったと思うんですよ。
でも、放送時期を考えると・・・アニメ、このへんがクライマックスなんだよねぇ・・・?


とりあえず精神ズタズタになって、「もう麻雀やめる・・・っ」なんて言わなければなんでもいいや・・・
のっけから既にそんなぼやきモード



この時期のぼやきといえば、もう一つ。同5月号の付録ポスター

・・・おーい、ちょっと待ってよスタッフさん。
こんな水着着る設定なんですか松実姉妹。
特にお姉ちゃんなんてありえないと思いませんかね。あんな寒がりの人なのに
玄ちゃんは、とにかくあと1秒後にはアウトなその左胸なんとかしなさい。

色気で押した方が人目を引くのはわかりますけど、
もっとキャラクターに沿った描き下ろしをしてほしかったです。
後にもいくつか目にしましたけど、ほとんどこっちの路線でしたし・・・
同じ夏模様を描くなら絶対話の中でも出てきた白ワンピースの方が
はるかに似合ってるし、かわいいと思いますよ(と、ぶつぶつ)



そんなこんなで期待が3割、不安7割ほどでアニメが始まりました。
まあポスターはともかく、話の展開自体は原作者小林先生のネームをもとに
漫画もアニメも進んでいくわけですから、こればっかりは仕方のないことで。
強いて言うなら、放送時期が切なかったというだけの話です。

 

(12話で収まらなくて+3話ってするくらいだったら、
 もうちょっと時期置いて、スケジュールしっかり固めてからスタートさせた方がよかったんじゃないでしょうか・・・)








まあ、そんな付録という本筋からそれた傍流のぼやきは置いといて


序盤〜中盤と順調にアニメは進んでいきました。
全国大会1回戦で見せたドラゴンロードの演出もかっこよかったと思います。

阿知賀編は本編に比べると、対戦場面が省かれる傾向だったので
中盤に入ってからは、しっかり対局の様子が描かれ始めたのもよかったですね。
漫画では晩成戦後それっきりの、憧の旧友初瀬がアニメでは再登場して応援したり、
まだ打ち筋も詳細は不明の灼の、おばあちゃんが出てきて励ましていたり
 
「彼女は阿知賀のドラゴンロードだ!」
竜を従える玄はアニメならではの演出

エンディングテーマの一つ「Square Panic Serenade」も気に入りました。
歌に合わせてチビキャラが駆け回るのが楽しくて、何度も繰り返し見たものです。


そんな感じで素直にアニメで描かれたプラスアルファを楽しんでおりました。 



しかし、それでも漫画版の方がと思うのは
もちろんアニメよりも先に漫画の方を読んできたからと言うのもありますが・・・主には表情の違いです。



特に気になった例として、アニメ7話の後半。
滑り込みで2位通過、準決勝進出を決めてお祝いをする場面があります。
2位とはいえ大差をつけられたので、浮かれるのもほどほどにしなさいと赤土さんにたしなめられる。
この流れ自体は漫画版もアニメ版も同じなのですが。



ところがこの場面、漫画版で見ると実は玄だけ笑っていません。
 
暗いというほどではないにしても、微妙な表情です。
あと、描写の上で五十嵐先生が意図したか実際のところはわかりませんが、さらに付け加えて言うと、

 ●5人の輪には加わっているものの、1人だけ「わいわい」の外にいる

 ●厳密には傍らの電灯が作り出したものとはいえ、1人背後に影がかかっている

 ●そして無言

といった様子がこのコマから見てとれます。みんなの喜びに水を差さない程度に、少し和気あいあいから外れています。


赤土さんにたしなめられた大きな理由は、千里山に9万点差をつけられたこと。
その9万点のうち実に9割、8万3000点までが玄が対局した先鋒の結果で生じています。
後半の千里山が守りに入ったゆえだとしても、玄以外の4人はそれなりに渡り合っていたのです。
大差の理由はひとえに玄にあり、何とか2回戦を突破できたのはみんなのおかげで、ここまで苦戦したのは自分のせい。
そう思えば、とても手放しでは喜べないのが当然だと思います。


だからこそ、わずかな時間でも特訓に励んで  
少しだけ自信をつけて
でもはね返されて  
とどめとばかりに自分の持ち味であるはずの
ドラで手詰まりになって
悲嘆にくれる

・・・という流れに繋がっていくのだと思います。


たった1コマの描写であり、考えすぎと言われればそれまでですが、
後半における玄の、それこそいいところなしの心境を振り返る上で
わずかでもとても大事な最初の1コマだったのではないかと思います。
これを省かれてしまったのは、私には残念でなりませんでした。
平たく言うと、「あれ、なんで一緒になってはしゃいでるの?」とアニメ見ていて思ってしまいました、ここ。

二回戦中盤で憧が「あとはあたしらが取り返せばいいだけだ」と言って一致団結したように、
誰かが取られても気にせずみんなで取り戻す、阿知賀の仲の良さを見せたかったのかとは思います。
でも、この後の準決勝で「またみんなに迷惑かけちゃう」という言葉がしきりに頭をよぎっているように、
仲が良いからこそ自分の失敗を気にする子だと思うのですが・・・







そして終盤へ。漫画で見ててもしんどかったけど、アニメで改めて見るとなおしんどい。
他の地域でも似たようなものらしいですが、こっちで放送してるのが深夜2時半頃からなんですよ。
次の日が日曜日なだけよっぽどマシなんですが。

11話が終わった段階で漫画版に追いついてしまったので
これどうなるんだろう、と思いながら、とりあえず外野の声はシャットアウトして
(東京の1週間遅れで放送してるため、ネット等を見ると、もう見た後の人の話で先の展開がわかってしまうので)
アニメ版12話に臨みました。

いろんな内容が詰まった話(というか1話に入れるにしては詰め込みすぎじゃなかろうか)ですが
この記事は玄についての話なので、今回はその辺だけに絞っておきます。



「ここで来るんか・・・阿知賀・・・松実玄!」
トリプル(3巡先)を見た怜が、今まで目立つ動きのなかった玄が何かを仕掛けることを予見します。
その動き、つまりは今まで玄がかたくなに持っていたドラをついに切ってリーチをかけること。

この場面、怜がドラを切りやすくしてくれたように見えるかもしれませんが、違うと思います。
トリプルの後、怜が切ったのは、五索と五萬で、
玄がリーチをかけるために切ったドラ牌は三筒。牌を見る限り、何の関連もありません。

怜が切ったおかげで、実際に玄にできた安牌は赤の五萬でしたが、
それを切ると手が崩れるため、切りませんでした。まだ勝負を捨ててはいなかったのです。
だから、怜の動きに触発されたのだとしても、おかげでドラが切れると言うのではなく、
むしろ「このままではどうにもならないから、やっぱり切るしかない!」と
腹を決めた形だと思います。

そもそも、前述の予見があった上での怜の動きのはずなので、
怜が動いてくれたからドラを切れた、になると順序があべこべになっちゃいますしね。 


前に向かうために、一旦お別れ


ともかく、照にとっても予想外だった玄のドラ切りリーチで、いったん照の手が止まります。
やむなく引いて切った八萬を、怜がポン
このポンで牌をツモる順番が変わってしまい、
結果として玄の当たり牌七萬を照が掴まされることに。
(この辺が怜の言う「改変完了」だと思いますので、改変しなかったらどうなってたのか?
 という話もありますが、これも書くとなかなか長いので、これはコラム3にて)
リーチをかけている以上、回避することもできず、照がやむなく七萬切って玄がロン。
16600(+リーチ棒1000)を玄が照からもぎ取り、先鋒戦終了とあいなります。


4話以来、実に2か月ぶりの「ロン」


2回戦・この準決勝と全く振るわなかった玄にとっては
本当に久しぶりの和了り。

長い長いトンネルをようやく抜けた玄は、
「やっぱり削られちゃったけど、2回戦の時より
 ずっと多い点数でお姉ちゃんにつなげることができた」と
ひとまずは安堵の表情を浮かべ、
「おつかれさまでした」と笑顔であいさつするのでした。 
 


その前のお母さんとの思い出を振り返る回想も含め、よかったです。よかったのですが・・・
ただ、この展開を見た時漠然とした程度でしたが、何かしっくりこないものを感じました。
深夜の放送まで意地で起きてて、半分頭がぼんやりしてましたし、
それより何より、ここまでいいところがなかった玄が最後の最後で見せてくれたことに
とりあえずはほっとしたというのもあります。だからあくまで漠然とした程度でしたが



自分の中ではっきりしたのは、同じ場面を数日後の漫画版で見た時でした。
そしてよくぞ描いてくださったと思いました。
(ただし、途中経過の牌の書き込みには明らかにおかしい場面があるので、そこは単行本作業の時に直してあげてください)

対局に関して、展開そのものはアニメと同じです。
11話のラストで「ここで来るんか・・・」までやっていますので
トリプルで先を見た怜の行動、意を決してドラ切りリーチをかける玄→照直撃で先鋒戦終了という流れになります。


展開は一緒です。キャラクターの台詞も同じです。
が、先鋒戦を見届けた赤土先生が心の中で玄を称える一方、肝心の玄自身は
 安堵どころか・・・明らかに笑っていません。

何とか焼き鳥は脱したけど、やっぱり削られてしまったこと
とても手放しで喜べるような戦いぶりではなかったこと
何より、亡くなったお母さんとの思い出とも言うべきドラを手放してしまったこと
その上そうすることで、今後当面自分の手元にドラが戻ってこないこともわかっていました。
実際リーチして和了ったにも関わらず、加点チャンスとなる裏ドラが乗らなかったのですから。
一矢報いるためとはいえ、今までの自分といったんお別れせざるをえなくなった玄
安堵よりも切なさや不安の方が強く来てしまったのでしょう。
それでも惨敗だった2回戦よりは多く点を残せたのが唯一の救いでした。

だからこそ、息を吸って気持ちを整えて
「おつかれさまですっ」
・・・だったのだと思います。
満面の笑み、なんてとんでもない。
暗かったり泣いたりしてばかりだったから、せめて最後はと笑顔を作っていたのです。
この時の玄は心から笑ってなどいなかったのです。

そしてこのカラ元気も
直後に怜が疲弊の末に倒れてしまったのを見てあっという間に吹っ飛んでしまいます。


私としては、漫画版12話を「この前アニメで見たところと同じ」と一言で断じてしまわれるのは忍びないです。







ここからはちょっと話が横道にそれますが、
漫画版では玄が準決勝でまさにどん底に陥っているころ、
アニメではこれからどん底になるころ、
ビッグガンガンで短編の読み切りが掲載されました。


赤土さんが離れ、阿知賀こども麻雀クラブが閉鎖してから約1年
久しぶりに部室を訪れたクラブの3人(ギバード桜子・山谷ひな・志崎綾)が
いつも通り掃除をしていた玄に出会います。
(ということは、木曜日の出来事ですね。これも)

子どもたち同様、みんなに会いたいと思っていた玄は
3人に同行して、まず和の家に押しかけ、
さらに和も連れて、穏乃、憧の元を訪れます。


しかし穏乃は山に遊びに行っていていないし、
憧は進学した中学で新しい友だちと雀卓囲んで談笑してるしで声をかけられず・・・


やっぱりみんなで過ごしたのはもう過去のことなんだと思うのが普通のところ
玄は「でも今日はよかったぁ」と1人笑います。
こんな成果だったというのに、
またみんなで集まって楽しいことがあるかもしれないから、と。

玄のおめでたいほどのプラス思考は
ある意味つっこみどころなのかもしれませんが
もともと「いつか誰か来るかもしれないと願って部室を守り続ける」
そういう子なので、子どもたちが来てくれただけでも十分嬉しかったのでしょう。

これから先、穏乃が部室を訪れ、麻雀部が本当の意味で復活を果たすまで
さらに1年半、玄は待ち続けることになります。
でも、おそらくずっと1人ぼっちではなく、
時々は遊びに来た子どもたちに囲まれていたのだろうと思わせてくれる話でした。

だって、玄がいることがわかった子どもたち、
この後全く通いにこないとは思えないですもの。特にギバード桜子が。
(出番少ないけど、つくづくいいキャラだ)



※「高遠原」の画像は咲本編の単行本9巻から抜粋しています。
このエピソードの翌月に和は長野へ転校していきます。
本編の方の9巻に収録されている番外編「高遠原」で
せっかく仲良くなってもいずれ疎遠になってしまうことを憂い、
「こんなことなら、いっそ誰とも仲良くならない方が・・・」
という思いを抱えたまま去って行ったという寂しい筋書きになっています。

高遠原1・かなりあきらめが入っている和

ただ、この「高遠原」は始まりと終わりに約1年の隔たりがあり、
その間に、このビッグガンガンの番外編の話がはまります。
穏乃が連絡先を聞けていなかったこと、
憧は別の中学に行っていたことを考えると
転校前の和に最後に会ったのは玄たちだったということになるのでしょうか。

友達に会えない寂しさは残念ながら解消されませんでしたが
必ずしも、誰とも仲良くならない方がいいと思ったまま
去って行ったわけではなかったのかなぁと推察します。

もちろん、和がやっぱり友達がいた方が嬉しいと思うに至る
一番のきっかけは、長野での片岡優希との出会いなのは
言うまでもないことですが。


阿知賀番外編ラスト
再会を願う玄の言葉にそっとうなずく和
また、穏乃が再び麻雀部に戻ってきた原動力は
和が高遠原に行った後、インターミドル(全国中学生大会)で優勝を飾った場面を
テレビで目の当たりにしたことから始まります。

つまり、間接的にしろ、本人の意図したものではないにしろ
玄の2年越しの願いを叶えてくれたのは和だったということになりますね。

高遠原2・友達の存在を喜ぶ和

    ※「高遠原」といえば、この高遠原中学で和の先輩だったのが
     準決勝先鋒戦で面白い働きを見せてくれたすばら先輩こと花田さんです。
     玄と同じ2年生なのに、つい先輩とつけずにはいられない感じが不思議。
     というか、玄はとても先輩らしくは見え(以下略)

     同じ卓を囲んだとはいえ、和の先輩という共通点があることは
     すばら先輩も玄もまだ認識してないはずですが・・・
     あと、和も阿知賀メンバーとは再会しましたが、
     すばら先輩がいたことには気づいているのかなぁ
 


このビッグガンガンに掲載された阿知賀の番外編。
それほど長い話ではありませんし、今後の展開に大きな意味があるのかもまだわかりません。
でも、私としてはただただ、この話が掲載されたその時期が嬉しかったです。
上記の通り、玄にとっては他の連載・放送展開が非常に辛い時期でしたので・・・
久しぶりに優しくて健気で、しかしどこか一本頭のネジが抜けている気のするぽんやりとした玄ちゃんを見ることができました。
うん、これでまだしばらく辛い時期が続いても頑張れると思いましたね、いやホントに。







絵柄には好みがあると思いますし
とりわけ原作者である小林立先生のデザインに近いのは間違いなくアニメの方です。
千里山を筆頭とする他校の描写・演出に力が入っているのもアニメです。
(特に劔谷はアニメで相当の掘り下げがなされており、アニメを見てから漫画を読むと、だいぶ物足りなく感じると思います)
それに麻雀物語らしく、対局場面をより充実させて作られていたのはとても大きかったです。
(これがないと、12話の怜の「改変完了」について、説明がしにくいです)
アニメにはアニメならではの良さがありました。

しかし、こと玄に関する限り、
彼女の気持ちにより寄り添って描かれたのは漫画版の方だと私は思っています。
笑う時は微笑ましく笑う、落ち込むときはズーンと落ち込む。表情が豊かで
最初は強いのかと思ったら存外脆く、もどかしいところもあるけれども、
そんな弱点も含めて玄が気に入っています。
それだけに、上述の2つの「本当は笑っていない」を見つけた時には
いつかまた心から笑えるようになってほしいと願わずにはいられませんでした。
 


とにもかくにも準決勝の先鋒戦は終了しました。
ここで負ければ当然終わりですし、仮に決勝進出を決めたとしても
その先は咲本編で描かれるのが筋ですから、
阿知賀編の公式戦における玄の出番は事実上終わったと言っていいでしょう。

決勝に行ったところで、あえなく弾かれる公算は少なくないですし、
大して見せ場もなくこのままフェードアウトしてしまう可能性も大いにあります。
皮肉じゃないですけど、「竜頭蛇尾」もいいところの結果で終わるかもしれません。


それでも私はドラゴンロードと呼ばれて無垢な勢いで快走した当時より
さんざんに苦汁を味わった今の玄の方がより好きです。
もちろん単純に見ていて楽しいのは、「彼女は阿知賀のドラゴンロードだ!」なんですが
勝つ喜びも、負かされる悔しさも、どちらも深く思い知った今の方がもっと応援したくなりました。

とりあえず一つ山は越えたものの、課題はまだ残されています。
これを乗り越えられるのか、それともやっぱりだめなのか。
どちらにせよ一通りのことが終わった暁には、すっきりと晴れやかな顔を見せてほしいです。


そう、こんな顔    あるいはこんな顔・・・  



また見られる時があるかなぁ





以上、ここまで読んでいただきありがとうございました。
こんな駄文に最後まで付き合ってくださって、本当に感謝しております。


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