『くろちゃん日和S〜ピンクマフラーのてるてる坊主〜』



『天の川屋』


Qで紹介した七曲坂、またはロープウェイで山をのぼり、
蔵王堂のある金峯山寺の総門である「黒門」を抜けた先にある民芸みやげ物店。
それが天の川屋(てんのかわや)さんです。

阿知賀編第2局において、所属チームが解散したために故郷へ戻ってきた赤土さん。
そして彼女を迎えるために車でやって来た望さん。
この2人が出会った場所のちょうど横あたりにあるお店です。


赤土さんと望さん運転の車
このコマの後方にあるのが黒門で
右側が天の川屋さん

黒門を抜けてすぐにある民芸店なので、とてもわかりやすい場所ですが
加えて2013年8月から9月にかけて吉野山で行われた阿知賀編スタンプラリー
その時のキャンペーンイラスト(穏乃と憧)を現在でも店先に吊るしてくださっているのも
一つの目印となるでしょうか。


この店の方は、吉野山を訪れる咲ファンからは「宥姉」と呼ばれています。
由来は「自分も寒がりなので宥ちゃんに共感する」ということから。
そこで素人画ながら、以前宥姉とペアの色紙を描いてお渡ししたら
「私こんなに若くないやろ」とおっしゃっていましたが(笑)、とても優しい、気さくな方です。

この店の一角に咲関連のグッズ等を置いたコーナーを設けてくださっているのですが
特筆すべきはなんといっても交流ノート。2016年現在で4冊目に突入しています。
書き込むと、後日それに返事をつけてくださるのですよ。それもたっぷりと。

ノートを見ると、初めて来られた方も、何度も来ているという常連さんも
さらには台湾だったりブラジルだったり、国外含め各地から立ち寄られた方の書き込みを見ることができます。
この場を介して、様々な人の行き来、交流があるのだなあと実感させられます。



赤い枠部分が返事
返事の方がボリュームがあるという丁寧さ
すごい


ご都合などもあり、最近は店をお休みされていることもしばしばあると聞きますが…
タイミングが合うようでしたら、ぜひ店をのぞいてみてください。
きっとあったか〜く、もてなしてくださることでしょう。

 ※いや、それに甘えてばかりでもいかんのですけどね(笑)







〜話はまだ和がいた頃の、3月の終わりごろのこと〜



桜子「いやー、今日も遊んだねー」

ひな「ねー」

綾「もー、二人ともあっち行ったりこっち行ったり、いきなり追いかけっこを始めたり。無駄にタフだよね」

桜子「えっへん」

和「まるでどこかの誰かみたいです」



玄「あはは。でも、和ちゃん、昔よりずいぶん体力がついたよねー」

和「え?そう…ですか?」

玄「うん、はじめて出会った頃は、ちょっと走ったらすぐへろへろ〜な感じになっちゃってた気がするんだけど
  正直驚いちゃった」

和「ま、まあ…」

和(…)



   穏乃「おそいよ、和っ」

   憧「ふだん運動してないんでしょーっ」

   和「しっ、穏乃たちが…速すぎるんですよ…
     走る必要もないところでなぜ突然ダッシュしますか…子供ですか」

   穏乃「子供だよ!」



和(…)

玄「きっと私たちの知らないところで、体力つけてたんだねー」

和「この山を何度も登ったり下りたりしていたら、自然とこうなっただけですよ」

玄「そうかなー?普通に歩いているだけなら、そうはならないと思うけど」

和「…」

玄「きっと、和ちゃんのがんばりはムダじゃなかったと思うよ」

和「だと、いいんですけどね」

玄「そして、このおもちなものもその成果…!」わきわき

和「台無しです」





ひな「おや、あそこの店先に見えるのは…」

宥「あ、玄ちゃん、みんなもおかえり〜」

玄「おねーちゃん、ただいまー」

和「おねえ…さん?」

玄「こんな時間にどうしたの?…ああ、『あれ』を作るお手伝い?」

宥「うん、寒い間はなかなかはかどらなかったから…
  でも、今日はポカポカあたたかかったし、ちょっとがんばったんだ」

玄「だね〜来月には桜が咲いて、このあたりはお客さんがたくさん来るもの。
  その時におみやげに持って帰ってもらったら、きっと喜んでもらえると思うよ」

宥「だといいなぁ」





和「あの方はどなたですか?」

ひな「松実宥さん!」

桜子「玄ちゃんの1コ上のお姉ちゃんだよ」

綾「でも、クラブには来てなかったし、私たちもそんなに詳しくはないんだけどね」

和(ああ…そういえば)



   玄「新しい方ですね、初めまして!」

   和「は…初めまして」

   玄「むむっ!これはこれは」

   玄「お若いのにうちのお姉ちゃんと同じかそれ以上のものをおもちで…おもち…」

   晴絵「セクハラやめい」



和(『うちのお姉ちゃん』…なるほど、あの時言っていた、玄さんのお姉さんですか)





桜子「それにしても…」じり

ひな「玄ちゃんが自慢するだけあって、素敵なものをおもち…」じり

和(あ、このパターン)

桜子・ひな「ゆうおねえちゃー!」だきっ

宥「こんにちは…って、ええ!?うわわ、何?」





和「…やっぱり誰も止めないんですね」

綾「えっ、いや…その、あの、ええっと」

玄「ふふっ、おしくらまんじゅうみたいだから、あったかくて、きっとお姉ちゃんも喜んでるよ」

宥「ふわわわわ〜っ」

和「そう、でしょうか?」

玄「うんうん、どっちかというと一緒にまざりたいくらいだよ。いや〜若いっていいよねぇ」

和「やっぱりそっちの立場ですか」

綾「二人とも、あんなに抱きついちゃって。
  それにしても…はぁ…さすが玄ちゃんのお姉ちゃんだねぇ…
  玄ちゃんだって十分立派なのに、自分は全然大したことないって思ってる感じなのって
  すぐそばにいる人がもっとすごいから…一体何をどうするとああやって胸にだけ脂肪がつくのか」

和「あなたはあなたで何をぼやいているんでしょうか」





玄「あ、そうだ。おねーちゃん、和ちゃんにあれを一つ、あげてもいいかな?」

宥「ふわわ〜?い、いいと思うよ〜好きなのもらってきて、わわ〜」

和「玄さん?…店の中に行ってしまいました」

綾「で、店から何か持ってきて…あ、戻ってきた」



玄「和ちゃん、せっかくだから、これをどうぞ!これ、おねーちゃんの手作りなんだ」

和「…てるてる坊主?」








和「マフラーしてるんですね、このてるてる坊主…」

綾「ああ、これ知ってる!うちにもあるよ。
  そっかぁ、これ、玄ちゃんのお姉さんが作ってくれてたんだ」

玄「そうそう、おねーちゃん、お店のお飾り用にてるてる坊主を作った時に
  『あったかくしようね』ってあまった生地でマフラーまで作っちゃって。
  でもそれがこのお店に来るお客さんにも、かわいいって評判なんだよ」

綾「で、数を増やして配ってくれてるんだ。いつもマフラーしてるらしいもんね、宥お姉さん」

玄「そうなの。春夏秋冬、オールシーズンマフラーなんだ」

和(そう言えば、夏でもマフラーをしている上級生がいるって、前に学年で話題になったような…
  あれ、宥さんのことだったんですね)



和「あした、“元気”に、なあれ…」

綾「天気じゃないんだよね、これ」

玄「晴れの日も雨の日もあるけど、今日より明日はもっと元気になるように、もっと素敵になるように。
  つらい時も寂しい時もあるけど、元気が出ますようにっていう、おまじないなんだ」

和(つらい時…寂しい時…)



   −進学とか…クラス替え…転校…みんな少しずつ別れていく…
    こんな気持ちになるのなら…はじめから……−


   −またいつか楽しいことがある、そう思えたからっ!−



和「そう…ですか。うん、そうですね」




和「じゃあ、これ、もらってもいいんですか?」

玄「もちろん!おねーちゃんがみんなに渡せるようにって作ったものだから、
  むしろもらってくれた方が嬉しいよ」

和「では遠慮なく。ありがとうございます、宥お姉さ…」


桜子「ゆうちゃ、ゆうちゃ」

ひな「ゆうおねえちゃー!」


宥「ど、どういたし、まして、ふわっ、ふわわっ、ふわわわわわわわ〜〜〜っ」





和「…本当に大丈夫なんでしょうか?」


玄「あはははは」ぽやーん












くろちゃん日和20回目。
宥姉の誕生日に合わせて更新しましたが
今回のコンセプトは「宥姉と和との出会い」です。

Kで灼と和が会う話を書いたので
あとはやっぱり、残った宥姉とも接点を作ってみたいなという。
これで阿知賀の全員と和が出会いました!※あくまで二次創作ですが(笑)

タイトルに使い、作中にも出てくる「ピンクマフラーのてるてる坊主」
実際にこの天の川屋さんで作られ、店を訪れたお客さんに配ってくださっているものです。
宥姉がモデルなので、最初は咲ファンを対象に作ってくださったものなのですが
一般のお客さんの目にも留まり、誰にでも持って帰ってもらえるようにと量産されてました。

話に出てくるように、マフラー(を模したリボン)と
「あした元気になあれ」と書かれているのが特徴です。



原作においても、咲日和阿知賀の巻Eでアルバムに載せる玄ちゃんの写真を選ぶときに
「あったかくしようね」とテープでマフラーを作っちゃう宥姉なので
てるてる坊主にマフラーを巻かせてしまうというのも
お姉ちゃんの性格的に十分ありえることだなぁと思ったりして。

 

あと和に「マスコット人形をあげる」というのは
現時点ではアニメのみの設定(?)になっていますが
1期アニメの最終回で和と咲がお互いが買ったマスコット付きキーホルダーを
(※プターハとカモーネというそうです)
交換しあう話がモチーフになっています。

立先生のHPでの情報によると、長野での後輩である高遠原中学の夢乃マホちゃんが
現在つけているリボンも和があげたものらしいので、
そういう、贈り物を通しての絆っていうのもいいなぁと。
今回の話の翌月には和は転校してしまうのでなおさら。

このへんの、「和に何かあげたい」「宥姉と関わりを持たせたい」と
天の川屋さんのてるてる坊主が頭の中でぴったりあてはまった気がしたので、
今回こういう話にしたのでした。


番外編で和と再会してから転校してしまうまでの1ヵ月
あと数回、この時期をテーマにして描きたいなと思っています。



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