キャラクター及び作品紹介のページ その10

柚原このみ
(登場作品 ゲーム「To Heart2」)


               桜の花が咲き乱れ、大きめの制服を着て・・・


             寒い冬を過ぎ、めぐりめぐって再び訪れた春の季節
                   季節は再びめぐってくるけれど、
            その中で生きる人々の営みは必ずしも同じとは限らない
                  それは、ひとつの区切りの季節
                   再びだけど、去年とは違う、春


           何かいいことがあるだろうか?それともやはり何もないだろうか
         あるいは、自分にとって後悔するような何かが待っているのだろうか
               一歩前へ踏み出すべきなのか、それとも・・・?

                 変わりたいのか、変わりたくないのか
           変わらないのか、変われないのか、変わらざるをえないのか

                 思いは、人によって色々あるけれど・・・

                 




「Leaf/Apuaplus」制作の「To Heart」
ビジュアルノベルゲームとして結構、いやかなり有名なシリーズです。
前作は21世紀に入る前なので、もう何年も昔になりますが
特に、登場するメイドロボ「マルチ」が人気を博し
その後のゲームやキャラクターの方向性を決定付けたと言っても
過言でないかもというくらいに。

私もPSへの移植版を当時プレイしました。
一つの学園を舞台にした日常ものでありながら、
マルチを筆頭にしたメイドロボや、魔女、超能力少女など明らかに非日常なキャラが登場し、
でも、それでもやっぱり描かれているのは、一見ありふれ・・・てはいませんが日常もの。
「日常の中の非日常」というふうに言われることもあるみたいですが、
まさにその通りかなと思います。
1・2共に主人公(1が「藤田浩之」、2が「河野貴明」がデフォルトネーム)は
「やればできる」くらいにはいわれますが、天才的な頭脳があるわけでもなく
特殊な能力を秘めているわけでもない。もちろん出生の秘密が隠されていたりもしない。
登場するキャラクターたちの奇抜さに比べれば、個性と呼べるほどのものはないので
あとは勝負できるのは、行動力も含めた「心」だけ。
そういう意味でも、とても的を射たタイトルかと思います。「To Heart」。

あ、何でそんな男がもてるの?とか言わないように。


2の世界は1の2〜3年後という設定で
前作のキャラクターなどが直接登場することはありません。
舞台は同じなので、かつてを匂わせるような描写が出てくることはありますけど。
そんな「To Heart」の続編に出てくるヒロインの一人が柚原このみです。
主人公より一つ年下で、隣に住んでいる幼なじみの少女
後者の部分だけ聞くと、1の神岸あかりとよく似ている感じがしますが
浩之を起こしに来てくれることもあったあかりに対して、このみは起こされる側
料理が得意なあかりに対して、このみは下手とは言わないまでもかなり努力を要する側
多分、設定が似ているだけにキャラまでかぶらないようにという配慮もあったのでしょうか。
ま、要するに手のかかる妹分です。

ぶきっちょぽいですが、運動神経はあるようで坂道を全力疾走してもへっちゃら
食べるのも遊ぶのも大好きで甘えん坊・・・と、子どもっぽいところが微笑ましいですね。
前述の通り、主人公にとっては妹分にあたる子なのですが
主人公のことを「お兄ちゃん」とは呼ばず、貴明なので「タカくん」と呼びます。
(個人的には「お兄ちゃん」と呼ばないところが好印象でした)
また、時折「〜であります」という軍人口調になることがありますが
これは裏設定で、父が自衛官らしく、その影響によるものなのだそうです。
もっとも、実際自衛官が軍人口調なのかどうかは私は知りませんけど。


ずっと一緒だった貴明が隣にいて、「タマ姉」こと向坂環が地元に帰ってきて
今がとても楽しいけれど、
このまま幼なじみ、あるいは兄妹の関係であり続けるのか。それとも
という微妙な一歩をどう踏み進めていくかが、このみのストーリーの肝になります。
初めに触れましたが、「To Heart」の世界の中には、
日常とはかけ離れた存在がもぐりこんでいますので
全体で比較してみると、このみに関する描写はそれほど奇をてらったものではありません。
でも、このみの場合は、だからこそいいのかなと思います。
普通の子が背伸びをしているような、このみのテーマのサブタイトルにもなっている
「がんばれ女の子」というのが、よくわかる感じで。

そう言えばがんばれ、という意味では、
主人公である河野貴明も「ちったぁがんばれよ」という面を多分に含んでいます。
何しろ、恋愛系ビジュアルノベルの主人公でありながら、女性が苦手という性格でして。
同じ主人公でも、どちらかと言えば熱血系だった浩之よりも内向的な感じがあり、
ゲームを進めていると、行動や言動がじれったく感じる時もあるかもしれません。
・・・ま、私も人のことをどうこう言えた柄でもないですけどね(苦笑)


ゲームはPS2版と、新規追加で大人向けになったPC版が発売され、アニメにもなり、
2006年夏現在も、複数の雑誌(電撃大王とGファンタジー)で漫画が連載中です。
まだまだ活気のあるジャンルの一つと言えるでしょうか。
他にも10年来の初恋を叶えるために襲来したパーフェクト姉貴「向坂環(タマ姉)」や
青空の下で茨の道をゆく小動物系委員長「小牧愛佳」
「これで勝ったと思うなよ」が合言葉の押しかけライバル「十波由真」など
個性的なキャラクターの豊富な作品ですよ。