キャラクター及び作品紹介のページ その9

紫亜
(登場作品 コゲどんぼ作「ぴたテン」)


                 転機は、いつも突然に訪れるもの。


                  昨日も今日も、明日も明後日も、
          当たり前のように夜眠れば、当たり前のように朝には目覚め、
    雲が空を隠してひとしきりの雨が降ったとしても、やがてまたお日さまは顔を出す。

          そんな何気ない、これからも続くであろうと思っていた日常は、
                ある日、突然大きく変わったりするもの。
       それは、住む場所の変化であったり、あるいは誰かとの出会いであったり。
                珍しいけれど、決しておかしな話ではなく、
              形こそ違えど、遅かれ早かれ、誰もが通る道。


              たとえば、いつものように家のドアを開け、
           いつものように学校へ向かおうとしているその矢先に
       見たことのない服装をした、見たことのない人が、いきなり現れて
      「私とつきあってください」とにこやかに言い放たれることだって、別に


                        別に・・・?





「コゲとんぼ」じゃなくて「コゲどんぼ」
それにしても、何でこんなペンネームなんだろうと、今さらながらに。

「月刊電撃コミックガオ!」で1999年10月号〜2003年8月号まで連載。
約4年間、コミックにして全8巻まで。
また、アニメも制作されており、2002年4月〜9月にかけて半年間、
全26話にてテレビ大阪系列で放映されました。


ところで、これ、紹介が難しいのは、原作漫画とアニメでは
設定も含めて、流れが大きく違っているのです。
その点については、前出のミントが登場する「ギャラクシーエンジェル」も
同じことが言えるのですけど(そういえばどっちもブロッコリー関係か)

共通しているのはオープニング。
どちらも天使見習いであるこの物語の主人公・美紗が、樋口湖太郎(小学6年生)の隣に
引っ越してくること。上のすっとんきょうな台詞と共に。
だから最初は湖太郎は逃げてしまうのです。それはもう、脱兎の如く。

しかし「なぜいきなりあんなことを言ったのか?」その理由はともかくとして、
隣に引っ越してきた上、事あるごとに顔を合わせてくるので
それ以上関わらないでおく、というわけにもいかず。
おまけに周りには、人間と非人間も含めて、一癖も二癖もある連中が
次から次へと現れてくるものだから、
樋口湖太郎少年の、平穏な日常の殻はすっかり壊れてしまうのでした。

・・・と、まあ、流れを簡単に(?)言うとこんな感じです。
「幸せを求める物語」
言葉で表すと、漫画もアニメも根っこのところは同じなのですが
(そりゃ元々、同じ作品だから本来当然なんですけど)
その後のストーリーの流れ、雰囲気が大分異なっていて
原作の方は、美紗や湖太郎たちの過去、あるいは前世も含めたシリアスもの。
かたや、アニメの方は、毎回毎回ドタバタするけど
今日はアレでも明日があるさ、何とかなるさ的な、ギャグアニメだったりして。


今回紹介した「紫亜」についての設定もかなり違います。
原作の方では、失くしてしまった記憶を探しにきた魔族の少女。
素性の知れない不思議さと、家庭的な雰囲気、儚い過去を持ち、
そして、やはり儚い結末を迎えることになります。
一方アニメでは、優しすぎるあまり一人前になりきれない、筋金入りのダメ悪魔。
美紗が「天使見習い」なので、それに対比する形で「悪魔見習い」になったのでしょうか
不思議さもありますが、それ以上に天然で、いつも呑気にニコニコしてます。
ものすごい違いです。

私の場合、初めは原作漫画を知らず、アニメから入ったクチです。
「ギャラクシーエンジェル」(第二期)の後番だったので、そのままの流れで見ていました。
初めはノリにあまりなじめず、なんじゃこりゃ?な印象だったのですが
気がつけば、その後も打ち切ることなく最終話まできっちり視聴し、
原作漫画の方にまで、手を伸ばしているという状態でした。
つくづく、人間の適応能力ってすごいですね
 ※私の場合、こういう分野に限ってのことな気もしますが(笑)


と、いうことで、繰り返しになりますが
原作とアニメとでは、登場人物は同じですが、毛色は違った作品です。
でも、どちらが好きか?と聞かれれば、優柔不断と言われるかもしれませんが
やはりどちらも、と答えます。
紫亜に関して言うならば、ストーリーとしては原作の、過去における彼女の境遇やその顛末に
「残された時間の少ない者」という儚さを強く感じさせられる気がします。
でも、一方で、ダメならダメなりに、ひたすらのほほんと過ごしている
アニメ版「紫亜さん」も、ぬるま湯みたいなのんびり感があって、ほっとするような。


まあ、せっかく二つあるのだから、どちらが、ではなく
どちらも楽しめるのが一番いいのでしょうね、きっと。